Rabscaの名前の由来・設定考察
得体の知れないポケモンの中でも上位に来るのではないかと思います。
Rabsca
Pokemon Violet
“An infant sleeps inside the ball. Rabsca rolls the ball soothingly with its legs to ensure the infant sleeps comfortably.”
詳しい内容は “続きを読む” から。
概要
第九世代で登場した、ベラカスです。
特殊進化であり、また野生も限られた場所に低確率、主要なトレーナーの使用もないためクリアまで姿を見ないことも多いのではないでしょうか。
なぜか厳密な専用技や特性は持たず、準専用技であるさいきのいのりを、別の専用技を持つパーモットと共有しています。
PP1の特異な技で、倒れたポケモンの復活というのはあのクレセリアの自己犠牲でもできないと考えると別格の回復技です。
なお、色違いは縁起の良さそうな金色で、進化前も何かと人気が高いです。
名前の由来
Rabsca (Rolling Pokemon)
Scarab “スカラベ” を逆さにしたものと思われます。
日本語のベラカスも、言語間の違いを反映しながら同様のやり方で読みを反転させたものです。
一見すると英語の方はあまり反転していないように見えますが、これは英語と日本語の音声の処理が異なる(傾向にある)ためです。
基本的に人間言語は母音のような聞こえやすい音を核に音声単位を形成していきます。
英語の場合は、母音が両側を子音に挟まれた単位(syllable)が2つあることになります。
一方、日本語の場合は拍(mora)を単位としますが、ここで重要なのは、それ以前に、特殊な場合を除き子音が連続できないという制約がかかっていることです。
そのため、scarab という語の余った子音の後にいい感じの母音が補われ、4つの単位が形成されることになります。
この異なる単位系のままそれぞれを逆向きに並べているため、単位数の多い日本語と比べると「あまり反転していない」感じになります。
そもそも、さらに細かく変転するならアルファベットのスペルを反転させることもできるので、この名前は「音声単位ごとに反転する」というものだと思います。
……そう書いていて思いましたが、スペルを反転させて baracs としても、聞きようによっては「ベラカス」に聞こえそうですね。
それこそ、母音を補った場合はそう記述される可能性もありそうです。偶然でしょうか。
図鑑説明と設定
“An infant sleeps inside the ball. Rabsca rolls the ball soothingly with its legs to ensure the infant sleeps comfortably.”
“球の中で幼体が眠っている。ベラカスは幼体が快適に眠れるように脚で球を柔らかに転がしている。”
通常時は見られませんが、ゲーム内モデルでは球の中に幼体がしっかりと存在しています。
カメラ操作などを工夫して球を透かせると、その姿を見ることができます。
スカラベは、古代エジプトで重要視されていたシンボルの1つです。
太陽を神聖視していた古代エジプトにおいて、球体を運ぶスカラベの姿は太陽の運動や日の出を司る神 Khepri に準えられたと言います。
古代エジプトの世界観においては太陽は日毎に滅しては再生するもの、と考えられており、Khepri はその再生の部分を司ります。
スカラベの幼虫が転がしていた球から現れることから、単独で再生する虫、と考えられていたという関連もあるようです。
ベラカスは太陽のような球を掲げ、本体は命の終わりを迎えるべき老齢の姿、球の中に幼体ということで、明らかにこのことを意識したデザインです。
準専用技が異例の再生技というのも含まれているはずなのですが、それをいきなり共用にされているのはどうも不遇な感じがします。
ベラカスらがやや不気味なのは、これだけ宗教色の強い存在でありながら、特に何もなさそうな砂漠に普通にいるところですね。
生命の再生という伝説級のモチーフを持ちながら一般、というのに個人的に結構な異物感を感じています。
さて、今週のポケモンはベラカスでした。
捉えようによっては、ウルガモスより余程伝説に近そうな能力を持っている気がするんですよね。あちらも太陽とはいえ。
まあ、フンコロガシに準伝説枠を使うべきかと問われれば、最善ではなかろう、となってしまいますが……
それでは、来週もまたよろしくお願いします。
参考文献
Bulbapedia
Wikipedia Khepri Scarabaeus sacer