Mantineの名前の由来・図鑑解説
毎週一匹のポケモンの英語名と図鑑説明を解説するPokemon of the Week、
第8回はUSUMで一躍人気者になったこのポケモンです。
Mantine
“While elegantly swimming in the sea, it ignores Remoraid that cling to its fins seeking food scraps.”
翻訳・解説は”続きを読む”から!
概要
日本語名もマンタインです。
第二世代、金銀でエアームドの対になるポケモンとして初登場しました。
最新作USUMではマンタインサーフというミニゲームが登場し、BP稼ぎに一役買っています。
一般ポケモンでありながら日本語名と英語名が一致する、実は結構レアなポケモンの一匹です。
その名前の一致ゆえに、このポケモンの名前の由来には謎があります。
通常、日本語名と英語名を照らし合わせると隠れたモチーフに気づけることが多いです。
しかし、このポケモンはなんと5つの言語で同じ名前を持ち、多言語による考察が難しいです。
ここでは、3つの説を挙げたいと思います。
英語版の図鑑説明の翻訳
考察の関係で、最初に図鑑説明の訳を紹介します。
“優雅に水中を泳ぎながら、食べカスを求めてヒレにくっつくテッポウオのことは無視する。”
文法事項としてはwhileの構文が重要です。
単語ではもともとの意味として名詞形ignorance “無知”に通じる”知らない”を持つignore”無視する”が高校レベルの単語。
コバンザメのようにくっついているRemoraid、テッポウオとの共生関係が描かれています。
名前の由来
ここから、名前の考察に入りたいと思います。
まず、モチーフ・名前の由来として間違いないのはMantaの部分です。
英語ではManta Rayと呼ばれる、オニイトマキエイ、通称マンタ。
水族館でもマンタがいる水槽は人気のイメージです。
先ほどの図鑑説明でもそうですが、突然ビームを撃ったり火を吹いたりするポケモンの中で、どこを探しても危険な描写のない極めて現実のマンタに即した生態がマンタインの特徴の一つです。
残るは-ineの部分ですが、これはどこを探してもなかなか納得のいく説明が見つかりませんでした。
先行の考察と私のものを合わせて、3つを紹介したいと思います。
海関連の単語説
他の方の考察などを見る上で、割と多かったのが海関連の単語を由来とする説です。
具体的にはmarine “海の”やbrine “海水”です。
Brineは技:しおみずの英語訳にもなっていますね。
一般の名詞の中で関連性のある単語を由来とする、ありえそうな説です。
しかし、そもそも海の生物であるmantaにさらに海の要素を重ねるのは少し疑問ですし、分類の「カイトポケモン」が回収できません。
戦闘機説
こちらは私の考察です。
「カイトポケモン」で空を飛ぶことに注目し、テッポウオとの関連性にも触れます。
マンタインのモチーフの一つとして、戦闘機があるのではないかと考えられます。
- 飛行タイプのポケモンであり、初登場時に対になっていたエアームドに戦闘機の要素が見いだせること
- 「銃」をモチーフとするテッポウオが機銃に当たる位置に付いていること
この2つが主な根拠になります。
肝心の由来となる単語ですが、Lockheed Martinという戦闘機を作る会社がアメリカにあるらしいです。
MartinがMantineと類似していると考えられるのではないでしょうか。
(軍需産業についての知識はさっぱりですが、ロッキード・マーチンは戦闘機のシェア8割を占める大企業らしいので、認知度はそこそこあるようです)
もちろん、こちらの仮説にも多くの疑問点があります。
例えば、(第一世代には複数の例があるとはいえ)固有名詞を由来として扱うことの問題、また、カイトを戦闘機になぞらえるのは飛躍があるのでは、ということです。
このことを踏まえた上で、一考察として紹介させていただきます。
折衷案
以上2つの要素を両方取り入れた考察もできます。
超有名マンガのONE PIECEでも見られるように、marineは”海軍”という解釈ができます。
あるいは、submarine “潜水艦”の線もありうるので、「マンタの海軍」あるいは「マンタの(戦闘用)潜水艦」と考えることができます。
こちらはテッポウオの役割を回収した上で固有名詞の問題を解消する一方、「カイト」と飛行タイプは依然謎のままです。
また、しばしば海上に飛び上がる設定を考えると潜水艦の説は弱いかもしれません。
ここまで、Mantineの名前に関する3つの考察を紹介してきました。
なかなか難問を抱えたポケモンで、コーナー始まって以来の全力で考察することになりました。
大変長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございます。
それでは、来週もどうぞよろしくお願いします。