Empoleonの名前の由来・図鑑解説
毎週一匹のポケモンの英語名と図鑑説明を解説するPokemon of the Week、
第16回はシンオウ地方出身のこのポケモン。
Empoleon
“If anyone were to hurt its pride, it would slash them with wings that can cleave through an ice floe.”
翻訳・解説は “続きを読む” から!
概要
エンペルト、第四世代のポケモンです。
御三家の最終進化の一匹で、雪国シンオウにふさわしいペンギンのポケモンです。
水・鋼という優秀な固有タイプを持ちます。
安易に氷タイプにせず、鋼という氷に強い属性が与えられているのにアイディアが感じられますね。
耐性が優秀なタイプでありながら、御三家であることが災いした両刀種族値で絶妙に耐久が足りないのが悔やまれます。
個人的に最もメガシンカでの数値の底上げを求めているポケモンの一匹です。
英語版の図鑑説明の翻訳
“自らのプライドを傷つけようとする者があろうものなら、流氷を裂いて突き進むことのできる翼でその者たちを切り裂く。”
be動詞 + to不定詞の形が使われています。
「予定」や「可能」と不定詞の常として様々な意味がありますが、共通することとして to の「向かっていく」というニュアンスが含まれています。
受験英語だと、まだやっていない動作を表す decid “決める” や wish “願う”には -ingは使えなくてto不定詞を使いなさい、と言ったあれです。
英文法の授業では前置詞のtoとto不定詞を全く別物として扱いますが、元を辿れば同じです。
そのため不定詞を表すtoにも「向かって」という意味があります。
向かっている、ということは裏を返せば「(物理的に)未到達 / (時間的に)未来」ということになります。
それゆえに、後に動詞の続く不定詞の用法では「その動作に向かっている(するところである)」という意味が表されることになります。
ここでは仮定法過去を使って、「-しようとするなら」と使われています。
プライドを傷つけるような行いを、(未遂でも)しようとした時点で斬り捨て御免ということですね。
名前の由来
Emperor (penguin) “皇帝(ペンギン)” + pole “極” + Napoleon “ナポレオン”
以上の組み合わせと考えられます。
ペンギンは王族だらけ
Emperorについては見た目通りですね。
コウテイペンギンというペンギンがモチーフなのでしょう。
コウテイペンギンは現生のペンギンで最大の種で、大きいもので130cmくらいに成長するそうです。
ちょっとした小学生くらいのサイズになるのでしょうか。
エンペルトは1.7mなので現実のペンギンよりは大きく、成人男性でちょっと小さめくらいの背丈かもしれません。
そんなに種類のいなそうなペンギンですが、現生で19種いるらしいです。
そこそこの種類数に聞こえますが、生物学的には少ないのでしょうか?
紛らわしいことに、オウサマペンギンという種類のペンギンもいるらしいです。
北極や南極に関するドキュメンタリー番組の映像なんかを見ると顕著ですが、ペンギンは群れで活動します。
氷の上にはそんなに王やら皇帝やらがたくさんいるのですね…
ちなみに、有名なペンギンのキャラ、ピングー。
彼が何ペンギンなのか、公式に明言されたことはないようです。
どうやらコウテイペンギンらしいとは言われています。
彼らが話すのは架空言語。
架空の言語って面白いですよね。機会があれば語りたいです。
さりげなくpole
Poleは the North Pole “北極” といった「極」です。
極圏に住んでいるシロクマのことを、形容詞形 polar を使って polar bear と呼びます。
その他、日本語と同様に磁石や電気の極にもこの同じ単語を使います。
陽極 / 陰極は negative pole / positive poleと言います。
前後2つの名詞の間にさりげなく紛れ込んでいて上手いネーミングです。
皇帝・ナポレオン
最後はフランスの皇帝、ナポレオンです。
ナポレオンは、革命後のフランスの将軍として、連戦連勝を重ねます。
イタリア遠征がその始まりで、ナポレオン戦争と呼ばれる一連の戦争を起こしていきます。
エジプトで一時イギリス海軍に敗れながらも、陸では常勝の英雄として帰国したナポレオン。
ブリューメルのクーデターで総裁政府を打倒して支配者となります。
その後は大陸の様々な場所で戦争を行い、勝利を続けていきます。
そしてその中で、第一統領、終身大統領と権力を高めていったナポレオンはついに皇帝として即位します。
しかし、スペインでのゲリラ戦に苦戦し、海上では彼を複数回破るイギリスに対する大陸封鎖令が失敗していくことで状況は変化。
その後にはロシアでついに陸上で初めて敗北を喫し、ライプツィヒの戦いで破れて島流しにされます。
その後は一時フランスに戻り再び即位するも百日天下に終わり、再度の島流しに当たってはもはや脱出叶わず、セントヘレナ島で生涯を閉じます。
一説には毒殺されたとか。
さて、歴史の話が続いてしまいましたが、このナポレオンの名前がEmpoleonの名前に含まれていると考えられます。
どちらかというと水タイプではなく陸上無敗の英雄なのですが、皇帝ということで採用されているのかと。
彼の姓はBonaparteですが、こちらは日本語名に採用されていると考えられます。
Emperor + BonaparteでEmperteということでしょう。
この綴りで「エンペルト」と読めるかはやや怪しいですが、語源的にはこのスペルで合っているのだと思います。フランス語読みは全くわかりません。
今週はエンペルトを扱いました。
バトルオブシンオウのエントリー期間ということで、固有タイプを持っているこのポケモンが注目されているらしいですね。
ORASの時に一時期レート対戦で使っていた思い出があります。
ステロ欠伸ができる固有タイプで独自の強みがありますよね。
図らずもポッ拳のレビュー記事と同時進行で衝撃の4連参戦キャラになってしまいましたが、狙ってはいないです。
やはり人気キャラを選んでいくとこういうことになるのだな、と。
しかし物のついで、もしお時間があればぜひお読みください。
真面目に語っているPokemon of the Weekとは大変な温度差があります。
それでは、来週もまたよろしくお願いします。
Reaさん、初めまして。
いつも楽しく拝読させていただいております。
私もNHKの英語番組を見たりしつつも、ポケモンのレートも本気でやりたいと思ってるので、ポケモンに関しても英語に関しても深く洞察されているこのブログは大変興味深く読ませていただいております。
エンペルト、玄人向けのポケモンのイメージですが、とてもカッコ良くて惚れ惚れします。
鋼タイプのポケモンが好きなので、ハッサムやエンペルトやカミツルギが取り上げられていて嬉しいです。いつか大好きなルカリオも記事になったらいいなと思います。
また、もしReaさんがポケモン関連でリスニング教材にされているものがあれば教えていただけたら幸いです。
これからも、更新楽しみにしております。
Shiek様、初めまして!
いつもお読みいただいているとは、ありがとうございます、大変嬉しいです!
鋼タイプのポケモンは私も大好きです。
なるべく扱うポケモンのタイプが被らないように心がけているのですがどうしても多くなっています。
ご質問のリスニングの件ですが、これはかなり難しい質問ですね…
ポケモンの要素を含む限り、名前や技、特性などの英語名を避けて通れないのです。
例えばYouTubeで Pokemon Anime ep ○○ (episode ○○で第○話)などと検索すると、英語版のアニメが出てきます。
会話文自体は平易なので聞き取るのが難しい訳ではありませんが、ポケモン名などの専門用語で混乱する可能性はあります。
レート対戦に興味がおありということでしたら、WCSや個人の英語実況を聞くのも一つの手段と思います。
こちらは話のスピードが早いのに加え、ゲーム一般の用語も含めた専門語が多発するので難易度はかなり高めです。
ポケモンには特有の語が多く、なかなかメインのリスニング教材として据えるのは難しいかもしれません。
私自身もリスニングに関してはポケモン関連ではない方法で鍛えたところが大きいです。
個人の経験と意見ですが、自分の発音を矯正した上でひたすら音読するというのがリスニングにも効果的だったように感じています。
私の場合は高校レベルの教科書や長文でしたが、それこそポケモン図鑑でもいいのかもしれません。
お力になれる形でご質問に答えられているか不安ですが、少しでも参考になれば幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。