Pokemon of the Week 11: Kartana

Kartanaの名前の由来・図鑑考察

あけましておめでとうございます。
毎週一匹のポケモンの英語名と図鑑説明を解説するPokemon of the Week、
2018年初回の第11回はこのポケモンです。

Kartana / UB-04 Blade 
“This Ultra Beast’s body, which is as thin as paper, is like a sharpened sword.”

翻訳・解説は”続きを読む”から!




概要

日本語名はカミツルギ、UBの一匹です。
最近発売されたLINEスタンプで新年の挨拶担当をしています。

極端な能力値や通常ポケモンと一線を画するモチーフの、極めてUBらしい存在といえます。
サンムーン発売直後は微妙な評価を受けていましたが、USUMでの強化もありついにシングルのランキングに載るまで評価されたようです。


英語版の図鑑説明の翻訳

名前とモチーフについて語ることが多すぎるので、先に図鑑の文から。

“このウルトラビーストの、紙のごとく薄い体は、研がれた剣のようである。”

短い!
なんと一文です。

解説することと言えば、as – asの構文でしょうか。
今回はwhich isで関係代名詞を使った節の形で現れていますが、比喩的表現で強調するのに(形容詞) as (すごく形容詞なもの)という形を使うことがあります。
hard as stone “石のように硬い”など。
今回の場合ですとthin as paper “紙のように薄い”ですね。


名前の由来

新年最初に相応しい、大変考察しがいのある名前になっています。

Japanese Katana Pokemon!

まず、日本的な姿を持つ刃物のポケモンとして、katana (刀)は間違いないでしょう。
UBのコードネーム、Bladeにも通じます。
ちなみに、日本語版でのコードネームはSlash “斬撃”ですので少し異なっています。

英語の辞書でKの欄を見れば分かる通り、なかなか英語で「ka」という文字の連続はないです。
そこであえてKartanaというスペルを入れてくるあたり、英語話者にとっては異国的、日本的という印象を与えるものにしてあるのかもしれません。

なんと日本語にも。ラテン語

加えて、ラテン語 charta (紙)、あるいはそこから派生した諸言語における単語が組み合わされていると考えられます。
ラテン語由来の言語としてはフランス語やスペイン語、ポルトガル語にイタリア語などがあり、それらは比較的似た形の単語を持つことが多いです。

英語はラテン語の直接の子孫ではありません。
しかし、歴史的にラテン語及びその子孫のフランス語から影響を受けている他、さらに先祖まで遡ると同根なので浅からぬ関係があります。
英語のcardはフランス語の影響による、この charta 由来の単語とされています。

ちなみに、英語と血縁的に近い言語としてはオランダ語やドイツ語が挙げられます。

ラテン語 chartaが派生した先は、例えばフランス語の carte (地図)やイタリア語 carta (紙)などとなっています。
(私はフランス語・イタリア語に関しての知識がないので、不正確な訳でしたら申し訳ありません)
ポルトガル語 carta は日本語に借用されて「歌留多」となっているので、遠く離れた日本語にもその面影を残しています。

かつて学問において最重要視されたラテン語の影響力には感服します。

イギリスでも、神の御剣。

さらなる名前の由来として、イギリスのCrown Jewels “戴冠宝器”の一つであるCurtana “カーテナ”が存在するようです。
(Cortanaなどとも呼ばれるとのこと。Windows 10にそんなのついてきた気がします)

戴冠宝器とは、イギリス王家の戴冠式に用いられる宝具などを含めた140の儀礼用の宝物で、ロンドン塔に保管されているそうです。
日本皇室における三種の神器と通じるところがあるかもしれません。

CurtanaはSword of Mercy “慈悲の剣”と呼ばれます。
この剣の先は尖っておらず、四角形に整えられているそうです。
それゆえに殺生を行うための剣ではなく、このように呼ばれているということです。

圧倒的な攻撃力を持つというこのポケモンの能力値と慈悲は遠いように思えます。
しかし、別バージョンの図鑑説明では積極的に人を襲わないという性質が描かれています。
刀の名を冠する故の武士道か、慈悲の剣であるためか、UBの中では比較的おとなしい性質なのかもしれません。

日本では、草タイプ。

日本語での名前は、紙の御剣であり神の御剣ですね。
ストレートに見えて実は掛けられている秀逸な名前です。

鋼タイプはともかく、このポケモンの草タイプには結構な疑問が挙がっていたように思います。
対の(竹モチーフの)テッカグヤとタイプを間違えたとまで言われていました。

一つの説明は、紙の原料となるものが植物であるということです。
Paperの語源となるのもpapyrusという植物の名前ですし、これも一つの理由としてあると思います。
しかし、このポケモンが日本的なデザインであることを踏まえるとそれだけではないように思います。

先述しました日本の皇室に継承される三種の神器、その一つに草薙剣。
カミツルギの草タイプはここからも来ていると考えられます。

「草薙剣」は、古事記においてスサノオノミコトが八岐大蛇を討伐したときにその尻尾から発見した剣、天野叢雲の別名です。
のちにこの剣はヤマトタケルに授けられました。
敵に囲まれて絶体絶命、野に火を放ちながら自分の周りの草のみをこの剣で切り払って燃え盛る炎から身を守りつつ、敵を撃退したということからこの名がつきました。

草タイプではなくそれを刈った側ですが、日本の神刀に「草」の名前がついていること自体、根拠になり得るのではないでしょうか。


今回は新年ということで、熨斗袋モチーフのポケモンを解説しました。
UBはやはり設定やデザイン、名前が凝っていて考察のしがいがありますね。

さて、冒頭でも述べましたが、あけましておめでとうございます。
まだまだできたばかりのこのサイトですが、少しでもみなさまにとって有益なサイトとなるよう、2018年も成長を続けていきたいと思います。

それでは、今年もよろしくお願いします。

今年は戌年

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